Brilliant Grunt

各種作品の感想、批評。或いは、ただのメモ。

【読書】『ウイルス・プラネット』

ウイルス・プラネット (ポピュラーサイエンス)

ウイルス・プラネット (ポピュラーサイエンス)

 あらゆる場所に存在し、角砂糖一粒の表面に並べると、文字を書けるくらい小さいウイルス。

 本書では、古来より現在まで、人と密接に関わってきた12のウイルスを紹介する。

 風邪の犯人であるライノウイルス、我らが(?)インフルエンザウイルス、細菌を殺すので医療にも利用されたバクテリオファージ、ウイルスの常識を覆したミミウイルスなど。

 

『マンションは日本人を幸せにするか』

マンションは日本人を幸せにするか (集英社新書)

マンションは日本人を幸せにするか (集英社新書)

本書について

 住宅ジャーナリストである著者が、日本におけるマンションの歴史、業界、そしてマンションのあり方を語る。

 以下、一部内容を紹介する。

理事長になれば何でもできる

結論から言えば、理事長になれば何でもできる。それが今の区分所有法だ。悪意を持った理事長が現れれば、分譲マンションの管理組合はたちまち私物化される。

 著者は、いくつかの事例を紹介している。そのうち一つは、何億もの金が失われたという。

 なぜそうなるのかといえば、結局のところ、住民が無関心だからだ。

感想

 全体的にネガティブな話題が多いのだけれども、とても参考になった。

『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』 安田純平 感想

ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)

ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)

本書について

 2015年から18年まで、シリアで拘束されていた安田純平さんが、かつて記したルポ。

 イラクに料理人として潜入し、イラクの人々や情勢について観察。

 以下、内容を一部紹介する。

テロリストとは、誰なのか。

「テロリスト」ならば、周囲も含めて無条件に殺してよいのが「対テロ戦争」だ。その「テロリスト」とは誰なのか、という問題は、「対テロ戦争」取材の最重要テーマである。

  本来、どんな凶悪犯であろうと、裁判にかけられるが、テロリストと認定されれば、即座に殺される。
 「テロ」とは、曖昧で不気味な言葉であり、使うべきではないと、安田氏は言う。

 安田氏は、理不尽に殺されたり、虐待されたイラク人を見てきた。日本はイラク戦争に加担した側であるから、安田氏は政府を信用していない、あるいは怒りがあるのかもしれない。

 そして、本当の現場の情報を手に入れたい。そのために戦争労働者として潜入したのである。

料理人として

 もちろん、安田氏は本職の料理人ではないので、うまく立ち回っていかねばならない。
 食材の種類、量が限られたなかでやりくりする、難易度の高いものだったらしい。

 指をザックリ切ってしまい、トイレに駆け込むことばかりだったが、どうやらバレなかったようである。

 そりゃあ、他の料理人が、腐ってドス黒くなった卵を平気で使うぐらいだから、バレないのも当然かもしれない。

 ポール「腐っていたら水に浮くから大丈夫だ」

 ともかく、安田氏は止血の方が得意になっていったという。

感想

 安田純平さんが、なぜ危険な取材におもむくのか、イラク人の生態についても分かったような気がする。