Brilliant Grunt

各種作品の感想、批評。或いは、ただのメモ。

辞書を編む 飯間浩明

辞書を編む (光文社新書)

辞書を編む (光文社新書)

 三省堂国語辞典編纂者の飯間氏が語る、辞書の作り方。まずは、三省堂国語辞典を最初に作り上げた人が超人過ぎて畏れおののいた。著者はあらゆる情報媒体から、あるいは街中、人の会話から言葉を採集していく。そしてその言葉の解釈、語釈を考えていく。時には、「キャバクラ」を定義するために実際に行ってみたりするのである。あくまで「調査」である。
 読んでいくと本当に辞書によっていろいろな違いがあるんだなとわかった。そして実はネットの辞書に敵対心を持っているわけではないことも判明し、また、辞書とは、語数が多いだけが良い辞書ではないと著者は自信を持って述べる。

今を生きるための現代詩 渡邊十絲子

 いつから人は詩を遠ざけてきたのか、そう言いつつ、著者は詩を紹介していくのだが、どうやらこれは詩評の類ではないらしく、最初に出てきたのは中学の時に出会ったという谷川俊太郎の詩、これは中学の教科書にのせるものではないと著者。
 今まで詩は読んだことがあまり無かったし、読んでもよくわからなかったりしたけど、詩の一節を読んで、そのあとに著者の考えたことを見るのは面白かった。男の詩と女の詩の違い、というのも興味深かった。そして詩の解釈は、その人なりの解釈で良いんだと思った。

【ゲーム】PROTOTYPE プロトタイプ

PROTOTYPE(輸入版)

PROTOTYPE(輸入版)

 頭巾好きの主人公アレックスが謎のウイルスに感染し、その遺伝子変化に対応すると、超人へと進化し、自らを化け物にした者たちを探し出し、慈悲も無く粛清を与えていき、時には裏切った元カノも消し去るのだが、例によって街は閉鎖され、核が落とされそうになるのである。
 そのウイルスは、感染するとほとんどの場合ゾンビになり、一部の者は知性を持たないモンスターへと変貌する。アレックスはそのウイルスに適応した、ただ一人の人間で、体を自由に変化させることが可能。ゲーム中では、全身を鎧状にしたり、腕を大きな武器に変化させて戦う。

 とても爽快感のあるゲーム。マンハッタンという箱庭で、韋駄天の如く走り回り、ビルを垂直に駆け昇ったり、モモンガのように高速滑空もできる。かっこ良いのは障害物を飛び越える際の、パルクールをイメージした動作。広い箱庭を走り回るのも億劫ではなくなる。
 ゾンビは大量に出現するのだが、雑魚も雑魚、吹けば崩れ飛ぶ泥人形。主要な敵はモンスターや、人間の特殊部隊、戦車やヘリ、果てはサイボーグであろう。それでもプレイヤーは格好よく敵を薙ぎ払えるはずだ。ちなみに感染していないエリアというのがあって、そこでは普通に民間人が歩いていたりする。それらを殺しても特にペナルティは無かったと思う。
 グロテスク。ゾンビだろうと人間だろうとその体は斬れ飛び、木っ端みじんになったりする。そのため日本語版は出ていない。PC版ではどうやら日本語化もあるらしいし、すでにストーリーやセリフも翻訳されているみたいだが、ストーリーは何となくわかるし、わからなくても十分楽しめる。
 難易度はそれほど高くないけれども、やりこみ要素などもあったりして、これは良いゲームだと思う。