Brilliant Grunt

各種作品の感想、批評。或いは、ただのメモ。

【洋画】夢は叶わないという現実への向き合い方。『カーズ クロスロード』

 常勝無敗のマックィーンの前に、新車が立ちはだかり、あっという間に抜き去ってしまうので、マックィーンは焦りのあまりスリップ、大クラッシュしてしまう。
 迫りくる世代交代の波に、マックィーンは抗おうとするが、現実は非情であった。

 ロッキーの何作目かのように、ベテランが若手の台頭を受け、発奮、猛特訓によりカムバックを果す物語かと思いきや、そうではなかった。

 マックィーンは、「自分の引き際は自分で決める」と言って特訓する。レースに颯爽と舞い戻り新人、もとい新車を抜き去って優勝し、有終の美を飾ることを夢見ていた。

 しかし、現実は非情である。努力によっても夢は叶わないことはある。マックィーンは思うようにスピードが上がらない。その時、マックィーンは原点を見つめなおす。師と共に歩んだ道を。

 自信がないまま最後かもしれないレースに参加し、その最中、マックィーンの夢は劇的に変化するのである。ネガティブな世代交代から、ポジティブな世代交代へ。

 マックィーンの「引き際は自分で決める」という言葉の裏には、世代交代への恐怖があった。廃車、いや敗者では終われない。師匠であるドックのように。しかし、それは間違いだった。ドックは確かに事故で負けて終わった。だが、夢破れたわけでは無かった。ドックは夢を託したのだ、自分に。今度は自分の番だと気付いた時、マックィーンの中で何かが確かに変わったのである。

 ここから読み取れるメッセージとは、何だろう。

 努力しても、夢は叶わないという現実がある一方で、その現実への向き合い方が問われているのではないか。
 
 マックィーンの当初の夢は、“自分が”優勝することだったはずだ。そこから考えれば、マックィーンは夢破れているということになる。

 しかし、マックィーンの夢は形を変えて叶った。そしてその後、マックィーンは新たな人生、いや車生を新たな夢を持って送り始める。

 つまり、夢の叶い方は様々であるということだ。それは、妥協や諦めではない。
 
 努力しても夢は叶わない。だから、努力したって無駄だ。そうマックィーンが思っていれば、そもそもレースにも出れず、結果はもっとネガティブなものになっていただろう。

 「夢は必ず叶う」。それは綺麗事かもしれない。現実は非情である。しかし、そこで腐るかどうかで、結果は変わってくるのではないだろうか。