Brilliant Grunt

各種作品の感想、批評。或いは、ただのメモ。

【ノンフィクション本】アフリカの風に吹かれて

アフリカの風に吹かれて

アフリカの風に吹かれて

 著者の藤沢氏はオランダの大学で学ぶのだがギリギリの状態で,その時に助けてもらったアフリカ人男性がきっかけで,卒業後に,自身初となるアフリカのスーダンへ単身飛び込む。その時の苦々しい経験がまず第一章である。第二章以降は支援者としてアフリカ各国へ赴く。その中で,様々な出会いがあり,サブタイトルにもある通り,泣き笑いの日々なのである。アフリカ人の時間にルーズな国民性,残虐な紛争の歴史,未だ残る女性の割礼の風習,罹患した時に病院よりもまず魔術師の所に行くという迷信,そして支援団体側の問題などなど。その中で,藤沢氏の葛藤や,現地にいる人々との関わり,衝突などが書かれている。
 特に女性の地位の低さはすごくて,読んでいてショックなところもある。特に割礼の記述などが。アフリカでのボランティア活動というのは,ぼんやりとしかわからなかったけど,この本で知られた事は多い。感謝どころか非難されたり,命の危機を感じる場面もあったりで,ひやひやする。騙されることはしょっちゅうあり,それでも藤沢氏は目の前の困っている人を助けるのである。