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【ノンフィクション】それでも,家族は続く カウンセリングの現場で考える

それでも、家族は続く―カウンセリングの現場で考える

それでも、家族は続く―カウンセリングの現場で考える

 

 カウンセラーである信田さよ子氏によって綴られている。まず初めにカウンセラーと精神科医との違いを述べている。言葉の変換(症状→問題,診断名→主訴,治療→援助)。例えばアルコール依存症である夫の妻が精神科医に行っても,「本人を連れてきてね」と言われるだろうが,カウンセリングの場合はそれを妻の主訴として扱う。つまり困っている本人が患者→クライエントになるということらしい。なのでアルコール依存症の夫や不登校である息子の予約を代わりに取るのは却下ということ。「その人がどうしたらカウンセリングに来られるか」を相談することになるという。

 

 それから,第2章には「3.11を契機に考える」,そこでは昨年の大震災以降,色々なクライエントの反応があり,大別すると「震災後元気になった」「震災後さらに悪化した」「変化なし」の3種類だったらしい。ここが個人的には一番興味深かった。

 

 その他,DVやアルコール依存症者,アダルトチルドレン,セックスレス問題,性被害,無職暴力息子,母娘の問題などについて言及していて,特に母娘については詳しく述べている。

 

 心理学が好きなので面白かったし,著者の文章力に驚愕した。特に「病院に行った」という出来事が書かれている頁で思った。そしてなぜか面白いと感じた。たぶん普通のことが大げさに書かれていたからだと思う。

 あとは保険がないのでカウンセリング料金が高い,ってことかな。著者曰く「その価値はある」