Brilliant Grunt

各種作品の感想、批評。或いは、ただのメモ。

『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』 安田純平 感想

ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)

ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)

本書について

 2015年から18年まで、シリアで拘束されていた安田純平さんが、かつて記したルポ。

 イラクに料理人として潜入し、イラクの人々や情勢について観察。

 以下、内容を一部紹介する。

テロリストとは、誰なのか。

「テロリスト」ならば、周囲も含めて無条件に殺してよいのが「対テロ戦争」だ。その「テロリスト」とは誰なのか、という問題は、「対テロ戦争」取材の最重要テーマである。

  本来、どんな凶悪犯であろうと、裁判にかけられるが、テロリストと認定されれば、即座に殺される。
 「テロ」とは、曖昧で不気味な言葉であり、使うべきではないと、安田氏は言う。

 安田氏は、理不尽に殺されたり、虐待されたイラク人を見てきた。日本はイラク戦争に加担した側であるから、安田氏は政府を信用していない、あるいは怒りがあるのかもしれない。

 そして、本当の現場の情報を手に入れたい。そのために戦争労働者として潜入したのである。

料理人として

 もちろん、安田氏は本職の料理人ではないので、うまく立ち回っていかねばならない。
 食材の種類、量が限られたなかでやりくりする、難易度の高いものだったらしい。

 指をザックリ切ってしまい、トイレに駆け込むことばかりだったが、どうやらバレなかったようである。

 そりゃあ、他の料理人が、腐ってドス黒くなった卵を平気で使うぐらいだから、バレないのも当然かもしれない。

 ポール「腐っていたら水に浮くから大丈夫だ」

 ともかく、安田氏は止血の方が得意になっていったという。

感想

 安田純平さんが、なぜ危険な取材におもむくのか、イラク人の生態についても分かったような気がする。

クイズを勉強にどう応用するか

クイズ王の「超効率」勉強法 (PHP新書)

クイズ王の「超効率」勉強法 (PHP新書)

著者について

 様々なクイズ番組で優勝・準優勝。さらに、クイズ作家として多くの番組やイベントにて問題作成・演出・監修を手掛ける。 

 中学2年から本格的にクイズにのめり込み、学校の勉強にもクイズが使えることがわかる。 

 そんな著者はクイズの勉強を「効率的な勉強法」であると語る。クイズからは、プロセスやアイデアを学ぶことができると。 

本書について

  
 クイズの面白さや、クイズの上達法とそれを応用した勉強法を紹介していく。後半では漢検一級の勉強のしかたも。 

 以下、本書で気になった箇所を紹介する。

クイズの効用

 ・クイズに答えられるということは、成功体験であり、モチベーションを維持することに繋がる。 

 ・1問わかれば、何倍もの問題に対応できる。様々な角度から出題される可能性があるからだ。 

クイズ勉強法

奇抜な連想で新しい知識を既存の知識と結びつけていく。これが知識を増大させるコツの一つです。 

 と語る著者。本書では実際にクイズ問題を見ながら、効率的な勉強法を紹介していく。

 さらに、「データもの」の知識をインプットする際のやりかたについては 

共通項でくくる、特殊なものから覚える、自分で問題につくりかえる、声に出して覚える。 

データをまとめて覚えるときには、まず幹をしっかり押さえてから枝葉を覚える。 

漢検一級については、主に次の3点。 

どんな問題が出るのか把握し、知識を吸収し、実践練習。 

ゾーン

最後に、勉強法ではないが、著者が「ゾーン」に入った経験が面白いと思った。

「ゾーンに入って」<中略>「Q.”米”という漢字に・・・」で、ポーンとボタンを押し、僕が答えたのは「謎!」。正解でした。問題の続きがどうなるか、おわかりでしょうか?<中略>なぜここまで全体像が脳に浮かんだのか、自分でも説明できません。それくらい、集中しきっているときには、自分の能力以上のものがパフォーマンスできる、ということでしょう。 

感想

 「勉強法」の本としては、どちらかというと「良」な本。 

『英語学習のメカニズム』 感想

本書の内容

 著者は、第二言語習得について研究している。

 本書ではその研究成果と、第二言語をどう学び、教えるかということが書かれている。

 章ごとに二、三冊のブックガイドがある。全7章。

 以下、内容を一部紹介する。

インプット

 そもそも学習において、インプットは必要不可欠だ。ではどれほどの量が必要なのか。そして効率的な方法とは?

 大量のインプットを取り込む際、4つの条件があるという。
 「理解可能性」「関連性」「真正性」「音声と文字のインプット」である。

 そのうち「関連性」において、興味深いデータがある。自分が面白いと思って読んだものは、定着率が1.15倍に上がるそうだ。

アウトプット

 アウトプットは、自らの能力の穴を発見し、正確さを確認するために必要だ。

 アウトプットの役割と量を増やす効果的方法について考えていく。

 最後に著者は、おすすめの教材ソースをいくつか紹介している。

モチベーション

 ある調査がある。あらゆる天才にインタビューをした時に、必ず「10,000時間」という数字が現れるのである。それは、それまで打ち込んできた時間だ。つまり、プロフェッショナルになるには、1万時間必要なのである。

 1万時間とは、毎日3時間でも10年である。いったい、どのようにモチベーションを維持していけば良いのかを考える。

学習方略

 学習の方法、メタ認知について。

感想

 とても参考になった。内容もそうだが、ブックガイドや教材ソースが適度にあるところが良い。

 英語だけでなく、勉強法としても良い本。