Brilliant Grunt

各種作品の感想、批評。或いは、ただのメモ。

【小説】『ガソリン生活』

ガソリン生活 (朝日文庫)

ガソリン生活 (朝日文庫)

 車をはじめ、乗り物はよく擬人化される。
 車の擬人化作品といえば、ディズニーのCarsが思いつく。

 この小説では、車が語り手である。クルマは物を考える事ができるし、近くのクルマと会話ができる。

 とある家に「住む」、と言っていいのか、車庫にいる、緑のデミオは、この家族が巻き込まれていく奇妙な事件の一部始終を目撃、いやドラレコ?するのである。

 有名女優がいきなり乗り込んできて、すぐに降りて、またたく間に焼死。彼女を追っていた記者。彼女を乗せたことで巻き込まれていく家族。冴えないヨシオと、冴えすぎの小学生と、なにやら怪しい男と付き合う長女。
 
 自転車の言葉はわからない。電車は崇高。タクシーはプライドが高い。宅配のトラックは自信に、ベンツは威厳に満ちている。