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【小説】アルスラーン戦記 王都炎上&王子二人

8/10

王都炎上・王子二人 ―アルスラーン戦記(1)(2) (カッパ・ノベルス)

王都炎上・王子二人 ―アルスラーン戦記(1)(2) (カッパ・ノベルス)

 中世ペルシャによく似た異世界。最強の騎士軍団を抱える王国パルスに、宗教国家ルシタニアの軍が迫る。

 パルス軍を率いる王様、アンドラゴラスは無敗の将軍なので、赤子の手をひねるようなもんだとタカをくくっていると、仲間の裏切りにあったり、ドラクエでいうマヌーサをかけられたり、穴にはまったりで、もう散々な目にあってしまう。

 そんな中、パルスの王太子アルスラーンは殺されそうになるが、「騎士の中の騎士」ダリューンに救われ、なんとか逃げのびるものの、パルス軍は総崩れ、最終的に首都まで制圧されてしまう。

 アルスラーンは逃げながら仲間を集め、反撃の機会を伺うのだが、「自分は王子ではない説」がニワカにもちあがり、銀仮面の男が現れ「俺が王子だ」と言うし、他の国も攻めてくるわで、首都の奪還どころではなくなってくる。

 この作品は分かりやすくて面白い。

 伏線はわかりやすく、良い感じに序盤から謎が散りばめられ、それが徐々に明らかになっていく楽しさ。

 愉快なのは、ダリューンやパルス騎士の圧倒的な強さ、アルスラーンの軍師的存在になるナルサスの知略。

 そして名称の「言いたい感」。エクバターナアンドラゴラス、マルダーンフマルダーン、エーラーンカーラーンとか。
 あと蛇王ザッハークという名前の悪者感。

 主人公であるアルスラーンは、あまりにも優しい王子。王のアンドラゴラスとは似ても似つかない。それは外見でも言えるので、両者の関係に疑いが生じる。
 貴族の横柄さや傲慢さが無い、その自然な振る舞い、人柄を慕って次第に仲間を増やしていくのである。