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【小説】少年十字軍 皆川博子

少年十字軍 (一般書)

少年十字軍 (一般書)

 皆川博子氏の作品。中世の時代、神の啓示を受けたエティエンヌが少年少女を引き連れてエルサレムを目指すという物語。
 羊飼いであったエティエンヌはある日、まぶゆい光と共に神が「エルサレムへゆけ」と、のたまうたような気がして、羊たちと共に跪くと、その光景を傍から見ていたと主張する高齢の修道士と旅に出発、少年少女たちを仲間に加えつつ、腐敗した協会にたどり着き、裏に陰謀渦巻く、嘘に塗り固められた奇跡を起こすと、その奇跡に酔いしれる者あり、懐疑的に見る者ありつつ、また新たに仲間を加え、旅を始めると、すごい勢いで仲間は増えていき、大行列になる。そんな折、ある城の王子が自分の胸に十字の刻印を入れ、我こそが神の啓示を受けた勇者なりと高らかに宣言して、エティエンヌたちの前に立ちふさがるが、尽く失敗する。しかしそれでも、エティエンヌの名を乗っ取ることに成功し、いつのまにか統率者が変わっている十字軍は、はたしてエルサレムに辿り着くことができるのか。
 エティエンヌが本当に啓示を受けたのか、奇跡を起こしているのか、それはもやもやとしているのだけれども、一つだけ確かなのは治癒能力を持っていて、手を触れると傷病を治すことができるということだ。
 登場人物はなかなかに魅力的で、感情移入できた。個人的にドミニクは好きだし、悪魔が見える二人の後半の変貌ぶりは驚くものがある。後半の展開は読んでいて鼓動の脈拍が上がるという久しぶりの体験をした。面白かった。

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